「おもろい女」 | こだわりの館blog版

「おもろい女」

11/11ヒビヤ芸術座にて
私はひそかに森光子ファンである。
TV「時間ですよ」も楽しみに見ていた。
舞台「放浪記」も新国立劇場の杮落とし「紙屋町さくらホテル」も見た。
一昨年、チェーホフの「桜の園」をやった時は必死でチケットをゲットした。
しかしジャニーズに溺れる私生活は見るに耐えない。
だがあくまで「彼女の芸の力」のファンなのだから
私生活には目をつむろう。

そして今年は代表作「おもろい女」
演芸に興味のある身にとって、森光子が演じる芸道物。
これは見ないわけにはいかない。
チケット代、12,600円…正直言ってきつい。
また当日の芸術座の場内は50過ぎのシルバーゾーン
…これもきつかった。

しかし見てよかった。
約3時間引き込まれるように見た。

36歳で早逝した漫才師を80を越えた森光子が演じる。
この点でもう無理がある。
しかも劇のスタートは15歳…もう無理の二乗だ。
しかしだんだん見ているうちに森光子が20代・30代に見えてくる。
不思議だ。

1幕目の最後に森光子がジャズのナンバーでスウィングする。
するとスゥーッと彼女の身体に精気が宿り、彼女の顔から皺が消える。
いや、実際皺は消えるわけ無いから、
消えたように見えたから、なおさら不思議だ。

相手役の段田安則と対等に夫婦役を演じる彼女を見ながら実感した。
「芸の力」という物が本当にあるということを。