「不都合な真実」 | こだわりの館blog版

「不都合な真実」

不都合な真実

「不都合な真実」の『不都合な部分』。


2/17 TOHOシネマズ府中 にて

監督:デイヴィス・グッゲンハイム
出演:アル・ゴア(ドキュメンタリー)


前から見たかったのだけど、なかなか近くで公開されない。
銀座で見るのも、ましてや六本木に出るのも面倒くさいし、
で、ついには府中のTOHOシネマズまで見に行ってしまった。
映画1本でこんな遠出をするのも久しぶり。


「不都合な真実」は、
現在の凋落の一途をたどっているブッシュと当時は激しい大統領選を繰り広げ
結果敗れた民主党のアル・ゴアが、
大統領選後は前から取り組んでいた環境問題の研究に専念し、
現在地球が【温暖化】している事に気付くや世界を股にかけて
この【地球温暖化】について警告を鳴らす講演を始めた。
映画はこの講演の記録映画、ドキュメンタリーであります。


ウン万年にも及ぶ長い地球の長い歴史が【地球温暖化】によって
50年ももたないというその【警告】にはとにかく説得力があります。
豊富な資料、そして実際に温暖化によって景観が一変してしまった数々の【名所】の写真。
そして「大統領に一瞬なったアル・ゴアです」という自虐的な自己紹介に始まり、
時にはユーモアを交え、時には強い口調で警笛を鳴らす
アル・ゴアのその語り口は、さすが政治家(笑)。
見ながら、聞きながらグイグイと映画に引き込まれます。


またこの映画自体、世界を講演に歩くアル・ゴアの姿や、環境問題に取り組んだきっかけ、
そして自分がなぜ環境問題でアメリカ政治界に「敗れて」しまったか、
の映像などが間には挟まれるものの、
講演自体はこれといってイジルことなく、内容的にもストレートに彼の講演を映像に収め、
あくまでも映画の対象は【講演】という、
スタッフたちの講演を見せる事に専従している姿勢が何よりです。
ちょっとコントラストのはっきりした映像に、
ちょっと暗めの音楽が非常に効果的であります。


と、ここまではこの作品を褒めておいて
これからは「不都合な真実」の気に入らないところをツラツラ。


この作品はラスト、
地球温暖化は「あなた個人ではどうしようもできないと思ってないですか?」と警告しておいて、
しかし「危険だと思ったらすぐ行動を!」と見るものを啓蒙して終わる
…ここまではいい。
で、エンドクレジットとともにご丁寧にもスタッフ等の名前と一緒に
「省エネルギーの電化製品を買いましょう!」やらの
具体的行動が字幕で次々と出てくるのです…これが気に入らない

この映画はアル・ゴアの説得力あふれる講演を
つぶさに収録したドキュメンタリーであります。
もうそんな事ラストでクドクド言わなくたって見る者は充分理解しているはずだし、
具体的行動を書かなくたって、アル・ゴアのメッセージをくみとって人々が行動に移すというのが
映画としての理想的展開なんじゃないでしょうか。

また、これもご丁寧にも「疑問に思ったらここへ」とばかりに
画面の右端に何かの団体のHPアドレスまでが出てくる。
ここまでされるとこの映画がその団体のプロパガンダ作品のように見えてきて、
ひねくれ者の私は思いっきり【引いて】しまったのであります。


それにやはりアル・ゴアが
「最も二酸化炭素を出し続けている国」アメリカの政治家というのもやはりひっかかる。
京都議定書に経済問題最優先で反対したアメリカ。
アル・ゴアは環境問題が【政治】の影に隠れてしまったことを作品内でも自戒してはいるが、
やはり何か【言い訳】のように聞こえて虚しい。
人々へ二酸化炭素削減の行動を誘発するならば、
自身はアメリカ議会を変えようという【行動】をとってくれなければ!
この作品を通じて民主党が、そしてアメリカ議会が京都議定書への1日も早い賛同へ
手を上げてくれることを期待するしか方法はないのか?
二酸化炭素を激減させたわが国【日本】の方が、
この作品を見て「日本も結構ヤルじゃん!」と見直してしまったのは
何とも皮肉なことでありましたなぁ。


私の知り合いから聞いた話ですが
知り合いがこの作品をアメリカ人と一緒に見て、アメリカ人が鑑賞後
「アル・ゴアは自分の政治活動に利用している!」
とこの作品を辛辣に批判してたそうですが、
さすがにそこまでうがった見方は私はしませんでしたけど、
その人がそういう印象を持ってしまったというのも
私には何となく理解できてしまうのであります。


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