「世界最速のインディアン」 | こだわりの館blog版

「世界最速のインディアン」


世界最速のインディアン

2/17 Tジョイ大泉 にて


カッコいいなぁ…


監督・脚本:ロジャー・ドナルドソン
出演:アンソニー・ホプキンス、クリス・ローフォード、アーロン・マーフィ、
    クリス・ウィリアムズ、ダイアン・ラッド、他


 ニュージーランド南部の小さな町、インバカーギル。
 小さな家に独り暮らしているバート(アンソニー・ホプキンス)。
 家族もなく、暮らしも貧しかったが、若い頃は優秀なエンジニアだった彼は、
 自ら改良したバイク“インディアン”号で、数々の国内記録を残し、
 温かい人柄から町の人々に慕われてた。
 バートの夢は、米国ボンヌヴィルの大会で世界記録に挑戦すること。
 そしてついに知人たちの力を借り、彼は“インディアン”号ととも、
 ライダーの聖地目指してアメリカに出発する…。


今年は全く期待しないで見た作品ほど【当り】が多い。
先月が「リトル・ミス・サンシャイン」
そして今月がこれ、「世界最速のインディアン」


会社のミーハーで有名な女の子が、この作品を見たらしく
「これ面白かった!」と絶賛していた。
ミーハーの意見に左右されてたまるか!と最初は思ったものの
しかしそれを聞いた後は、面食いな彼女のミーハーさと
アンソニー・ホプキンスという俳優がどうにも私の頭の中では一直線に並ばず
それが逆に興味を引いてしまって
「では、どんなもんなんだろ」と見に行った次第。


この作品、何も期待して無かったもので、何も予備知識もなく見た
【インディアン】がバイクの一種とも知らず、
代表的英国俳優アンソニー・ホプキンスが
先住民・インディアンを演じるのかと思っていたくらい(笑)。


ニュージーランドで着の身着のままのワイルドな生活を送っていた
バイク狂のおじいちゃんが永年の夢であった
アメリカのボンヌヴィルでのバイク最速レースの大会に
おんぼろインディアンと共に出場する話。


おじいちゃんが永年の夢をついに果たすという
実話に基づいたメインのストーリーもさることながら、
私がいたく感銘を受けたのはニュージーランドのおじいちゃんが、
文明と人種のるつぼであるアメリカに着いて、会場のボンヌヴィルに向かう間
様々な人たちと交流するロードムービーのような展開の人間ドラマの部分。


モーテルでは従業員のオカマと出逢って親しくなり、
車を購入したディーラーでは経営者のスパニッシュと奇妙な交流をし、
片田舎のワイルドなお婆ちゃんとの出会いで、彼は一夜を共にしたかと思えば、
片田舎では本物のインディアンとも出逢う…。

【人種のるつぼ】アメリカだけあり、ふれあう人々の人種も様々。
しかし何も知らないおじいちゃんは、初めて出会う様々な人種の人々とも
全く躊躇することなく、持ち前の【素朴さ】で飄々と交流していきます。
彼のこの【素朴さ】がなんともいいんです。
この【素朴さ】が、人種差別などで日頃は神経質になりがちな人々の
固くなった心をウマイ具合にほぐしてあげて
やがて出会った人々は何の違和感もなく、彼とゴク自然に【友達】になっていく…。
ホント心底の【悪人】なんてこの世にはいないんだと思わされますし、
彼こそ、もう元祖【癒し系】てな感じであります。


十ウン年前に「クロコダイル・ダンディ」なんて作品があって(注1)
これもオーストラリアのワイルドな中年オヤジがNYへ出てきて一騒動…
なんて話でしたが、あの主人公も持ち前の【素朴さ】が
文化と経済の街NYと不思議なコラボレーションを生んで
ほのぼのとした作品に仕上がってました。
この作品を見ながら「クロコダイル・ダンディ」のテイストを
思わず思い出してしまいましたね。


で、このニュージーランドのワイルドなおじいちゃんを演じた
アンソニー・ホプキンスが何とも良かったです。
このモデルは彼の実年齢に近い年齢なのでしょうけど
わざと年寄りっぽく演技していて(笑)、
「サー」の称号を持つ英国を代表する紳士にもかかわらず、
役柄ではいかにもニュージーランドからは一歩も出てなかったのであろう
素朴な老人を飄々と演じていて味わい深かかったです。


これからの日本の消費経済は【団塊の世代】が握ってるなんて言われてます。
永年、経済の中心としてバリバリと働いてきた世代も
いよいよ現役引退の時期となり、引退後は老後をいかに過ごしていくのか?
彼らの消費動向に、現在日本の経済は一斉に注目している訳です。
そんな今注目の【団塊の世代】に対してこの映画は
「まずは永年の夢を実現させることでしょう!」という強いメッセージを示すとともに
この世代に暖かいエールを送っているのであります。


そして私たちのような、一見まだ関係なさそうな、まだまだ現役の人間(笑)には、
この作品の主人公のような、年老いても夢を忘れず猪突猛進するその姿を見ると、
心から「カッコいいなぁ」と尊敬の眼差しを送るとともに、
自分のウン十年後に迫り来る【老後】に対して
何か一つのビジョンを提示してくれたような
そんな勇気すらもこの作品からはもらったような気がするのでありますよ。


いやー、ホントいい映画でした。


■注1:これです


 クロコダイル・ダンディ/ポール・ホーガン
 

 ¥1,350

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