人形浄瑠璃文楽二月公演<第二部> その壱 | こだわりの館blog版

人形浄瑠璃文楽二月公演<第二部> その壱

2月文楽

2/19 国立劇場小劇場にて


永田町の国立劇場小劇場に見に行ったのが、
人形浄瑠璃「文楽」公演

文楽の鑑賞は昨年9月の「仮名手本忠臣蔵」をぶっ通しで見て以来。
昨年、忠臣蔵公演中に人間国宝・吉田玉男が亡くなり、
男の人形遣いの大黒柱を失ってしまった文楽界。
さて毎年恒例2月の3部公演はこの穴をいかに埋めるのか、
演目選定に注目していたのでありますが、
今回の公演は第1部~3部にかけて、
さながら「女方の人形遣いの競演」といった趣でありました。
…なるほど、そういう手もあったのか。

国立劇場開場40周年記念


2月文楽公演


 <第二部>14時30分開演


  菅専助・若竹笛躬=作

  摂州合邦辻


  万代池の段
  合邦庵室の段


私が見たのは第二部「摂州合邦辻」
この演目の主役、玉手御前は、
後妻に入ったその家の息子・俊徳丸に事もあろうか恋をして
俊徳丸に浅香姫という許婚がいると知ると、
俊徳丸に毒を盛り、醜い顔にしてしまうとともに、
逃げる俊徳丸をどこまでも追いかけていくという、もうスゴイ役!


まぁ最後は「実は…」という展開になってくれるのではありますが、
「母が息子を恋し、追いかけまわす」という、そのあまりにも危ない内容に
歌舞伎でも滅多に上演しない演目でありますね。
それに内容的な問題もありますけど、この演目が歌舞伎であまり上演されないのは、
前半わが子恋しさに嫉妬に狂う女性を演じながらも、
後半の「実は…」の部分では
一転してお家を守る【武士の娘】にならなければならない、
この【一転して】を演じられる役者さんが、
【武士の心】が観客にも理解しがたい昨今、果たしてどれだけいるか?
この役者の問題があるのかもしれません。

現在の役者さんたちで言うならば、
尾上菊五郎丈なら演じられそうですけど、前半の【女】の部分が心配ですし(笑)、
坂東玉三郎丈なら前半の【女】は良さそうですけど、果たして武士の娘にすっきりなれるか?
こう書いていっても適役な役者さんって…いないですねぇ。

数年前に共に今は亡き、尾上梅幸・市村羽左衛門コンビにて
国立劇場で上演したときが、梅幸一世一代の名演技と言われました。
この翌月の歌舞伎座を途中休演して、梅幸丈はお亡くなりになったんですよね。
人間国宝の梅幸丈が、最晩年にして一世一代の名演を残した玉手御前。
ここに歌舞伎においてのこの演目を演じる難しさが表れてるのではないでしょうか?


話が横道に逸れました。
本日はこれ切りにして、明日は文楽の「摂州合邦辻」に戻しましょう。

明日に続く

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