「殿のちょんまげを切る女」 | こだわりの館blog版

「殿のちょんまげを切る女」

殿のちょんまげを切る女

2/24 新橋演舞場にて


作:中島敦彦
演出:ラサール石井
出演:中村勘三郎、藤山直美、波乃久里子、中村七之助、渡辺哲、岡本綾、大村崑、他


「浅草パラダイス」に代表される中村勘三郎を中心に
豪華キャストで喜劇が展開される2月の新橋演舞場


昨年も「ヨイショ!の神様」 でいかにも中村勘三郎らしい
「ザッツ中村屋エンタテイメント!」って感じの
楽しい舞台を堪能させてもらいましたが、
今年もタイトルもまたもや珍妙に「殿のちょんまげを切る女」
中村勘三郎・藤山直美の爆笑ご両人に加え、
波野久里子・大村崑の大ベテランに
中村七之助・岡本綾のフレッシュな顔ぶれ
そして渡辺哲・坂本あきら・有薗芳記らのクセ者脇役陣と(笑)
幅広いキャストを集めた賑やかな舞台。

ただしクセ者の王様・柄本明の不参加が残念ではありましたが…。

もうこのシリーズは脚本家や演出家には申し訳ないが、
「芝居とはなんぞや」なんてコ難しいことは一切抜きにして
何も考えずに見て楽しんだほうがいい(笑)。

ただただ勘三郎・藤山コンビの掛け合いに爆笑して、
芸達者なご両人の【舞台芸の真髄】にふれてれば満足なのであります。

出演者たちもこの辺は心得てか、
芝居の型だの台詞まわしなどは二のツギ。
あくまでも全体のアンサンブルと、
客席の雰囲気を察知した【間】の取りかた重視の舞台展開であります。


でも毎回思いますが、この2月新橋演舞場の爆笑シリーズ
これこそ【芝居】だと思いますね。
芝居は生もの、目の前にはたくさんの観客。
この観客抜きには芝居は成立しないのでありますし、
この観客たちが心の底から楽しまない限りはもうどうしようもない
独りよがりな代物になってしまうわけです。

観客が楽しいということは、客席から「楽しいよ!」という雰囲気が伝わってきて
出演する役者陣をより一層、奮闘させる訳であります。

だから芝居途中で思わず吹いてしまう出演者も多数。
本来ならこんなことあったら「不真面目な!」となるんですけど、
この芝居ならそれも許されるのでありますよ。
観客も爆笑なら出演者たちも思わず笑ってしまうのは仕方ないだろうと。

こういう点も、このシリーズは観客を楽しませる【ツボ】
実によくとらえているなぁと思うのでありますよ。


舞台は後半、廃藩置県のため百姓になった殿様(勘三郎)が、
農民の強い支持もあって知事に立候補するという
舞台も宮崎なら、なんだかどこかで聞いたような物語なのでありますが、
この後半の、殿様が長々と演説を始める、この場面はちょっと冗長
ここが脚本を書いた脚本家にとっては最も力を入れたところなのでしょうが、
この芝居は残念ながら脚本は二のツギのため、
中村勘三郎丈の芸達者をもってしても、どうしても冗長な印象を受けてしまうんですね。


脚本は小劇団の新進気鋭、中島敦彦
なんとも損な役回りでありましたが、
まぁこのシリーズだから、いた仕方なしでありますよ。


でも冗長に思えたのはこのシーンぐらいで
結果としては今年も実に楽しい舞台。
賑やかなカーテンコールも2度、3度。
最後のカーテンコールで大はしゃぎする藤山直美の姿を見ると、
本当この舞台、
観客も勿論ですが、出演者たちが一番楽しみながら演じていたんだなぁと改めて思います。


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