「双頭の鷲」 | こだわりの館blog版

「双頭の鷲」


双頭の鷲

3/21 渋谷PARCO劇場 にて


作:ジャン・コクトー
演出・修辞・主演:美輪明宏
出演:木村彰吾、長谷川初範、夏樹陽子、柄沢次郎、大山峻護


美輪明宏様…すごかった。


すごかった…客席も(笑)、ほぼ9割若い女性
昔から美輪様の舞台の客席にはなれてたけど
最近とみに某番組のせいか年齢が若返り、
なにやら「美輪教の信者の集い」のような様相になってきた。


美輪明宏は年1回のPARCO劇場でのライブも前から見に行ってるけど、
これも今や客席は若い女性ばっかり。
前は銀巴里時代からの品の良いオールドファンの姿なんかも見かけたんだけどなぁ。
で、この若き女性たちが、最後には感動のあまり
全員スタンディングオベーション…もうすごい光景!
今回の舞台もスタンディングオベーションしてた人いたけど
ライブほどの熱狂はなくて一安心(笑)。
でもあまりにも手放しで絶賛しまくるっていうのもどうなんでしょね。
ちなみに私はスタンディングオベーションは自分のキャラにないのでしません。


話を「双頭の鷲」に戻しましょう。
でもすごいよ美輪明宏。
ジャン・コクトーの朗々たる台詞をもう完全に自分のものにしてるもの。
全くよどみのない台詞廻し、もう完全に気分はエリザベート王妃。

しかも31歳の王女役!
相手役のスタニスラスの歳聞いて、彼が「25歳です」って答えたら
「私と6つ違い!」と平気で台詞口にしちゃうんだから!
客席で「プッ!」と吹いてた人いたな。失礼な人だよ!
…わかっちゃいるけど吹いちゃダメ(笑)。


だから最初は、私は「31歳」の美輪エリザベートすごい違和感を持って見てたんですけど
不思議と舞台を見続けていると、だんだん美輪様、若返ってくるんですよ、舞台の上で。
そして終幕近くには美しく威厳を持ったエリザベート王妃が、そこに佇んでいるのでありますよ。
おもわずつぶやく…「すごい!」の一言。

知らぬ間に私も「美輪教の信者」の一員に。
さすが美輪明宏の十八番。
それこそ、これが美輪様の今流行りの【オーラ】なんだろか?


確かに美輪様は素晴らしい。
素晴らし過ぎる。
だから素晴らし過ぎて、他の共演者がすっかりかすんでしまうんですよね。

この傾向は最近健著。
美輪明宏を見ている分には満足だし、客席の美輪教信者さんたちも満足だろう。
しかし舞台全体の【アンサンブル】となると、ちょっとバランスを欠いてしまうんです。


特に今回の「双頭の鷲」なんかは共演のスタニスラス役美輪様と対等までの役であるし、
そこまでの力量ある人が配役されるべき。
だってこの劇の作者ジャン・コクトーが生涯のパートナーであった、
ジャン・マレーにあてて書いた役でしょ。
作者の思い入れたるや、エリザベート王妃以上であるはず。


で、このスタニスラス役が、木村彰吾
最近美輪様の出演するテレビにも隅っこの方に出ている若い俳優さんですが、
はっきり言って力量不足
変に低音の台詞廻しがワザとらしくて耳障りだったし
なんで手をいっぱい広げるあんな大芝居するのだろう
…昭和初期の翻訳物【赤毛もの】かと思った(笑)。


美輪明宏が演出だから「そうした」のかもしれないし
美輪明宏の【大芝居】に対抗できるのは、それ以上の【大芝居】なのかもしれないが、
もうちょっとどうにかならなかったものか。


【大芝居】で言うならば
フォーエン伯爵を憎々しく演じていた長谷川初範のほうが、
くさいんだけど、やっぱり一日の長といった感じで、まだ様(さま)になってましたよ。
やっぱし【大芝居】にも年季が必要ってことなのかなぁ(笑)


まぁ木村彰吾は美輪明宏が近年惚れ込んで
自身の舞台で次々と準主役に大抜擢している新星だから
なにか【芽】はあるのかもしれないけれど
今回も残念ながら私の目にはその【芽】は見えなかったなぁ。


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