「叫(さけび)」 | こだわりの館blog版

「叫(さけび)」


叫

3/21 シネセゾン渋谷 にて


黒沢清の、わかりやすい「現代の怪談」

監督・脚本:黒沢清
出演:役所広司、小西真奈美、葉月里緒菜、伊原剛志、オダギリジョー、
   加瀬亮、平山広行、奥貫薫、中村育二、野村宏伸、他


 東京都内で起こる不可解な連続殺人事件。
 連続殺人犯を追う刑事の吉岡(役所広司)の頭に、ある日、
 ふと自分が犯人ではないかという疑問が浮かぶ。
 曖昧な自身の記憶にいら立ち、苦悩する彼を
 恋人の春江(小西真奈美)は静かに見つめている。
 吉岡は同僚の宮地(伊原剛志)の勧めに従い、
 精神科医の高木(オダギリジョー)の元で
 カウンセリング治療を始めるのだが…。


「叫(さけび)」は黒沢清監督役所広司主演のコンビによる最新作。
このコンビによる1997年の「CURE」の衝撃は忘れられない。
冷たく刺々しい今までの日本映画にないホラー作品であり、
あのちょっと異常とも思える描写は今でも脳裏にこびりついている。
で、その後もこのコンビにはこれ以上のものを期待して見て行ったのだが、
残念なことに「CURE」を超えるものには出会えていない。


黒沢清監督っていうのは頭のいい監督なのであろう。
だって「CURE」のような今までの日本映画にない作品を作ってしまうのだから。
ただ頭が良過ぎて時々我々の理解を越えてしまうような作品をも作ってしまうのも事実。
2000年の「カリスマ」なんて自分にはさっぱりわからない作品だったし、
2003年の「ドッペルゲンガー」(注1)なんかも風変わりな
ホラーコメディー(だよな、あれは)だったけど、
時々「?」と思わされるような作品でもあった。


だから正直、このコンビの最新作「叫(さけび)」も
「カリスマ」のような作品だったらどうしようかと
不安に思いながら見に行ったのであるが…大丈夫でした(笑)。
わかりやすい…非常にわかりやすい。

シーンのタッチなんかは非常に冷たくて、
ちょっと「CURE」を思い出してしまいましたが、
展開して行くうちに「CURE」のような猟奇的な部分は影を潜め
だんだんと人間の【怨念】が絡んだ【怪談】の要素が色濃いストーリーとなり
それをいかにも黒沢清らしい冷たいタッチで描いていく…といった感じで
黒沢清の描く、わかりやすい「現代の怪談」って感じのミステリーでありました。

名コンビ、役所広司の演技も作品によっては観念的になりがちですが、
この作品では吹っ切れたようにちょっと大芝居の一歩手前くらいの演技で
迷宮に入り込む刑事を熱演しるので、
この現代の怪談の良いアクセントとなってます。
役所広司の演技も演出同様、非常にわかりやすい。


しかし役所広司以上にこの作品のポイントとなっているは
なんと言っても葉月里緒奈
テレビでこの作品の紹介をしていて
葉月里緒奈が出演してると知って「懐かしいなぁ!」と思い
そんな久々の彼女が何を演じるんだろうと思ってたら
出てきただけで一発で納得(笑)。
何の役かはこれから見る方のためにシークレットにしておきますが
見てみれば誰もが「なるほど」と納得してしまいますよ。


「あなただけ…許してあげる」
この台詞、この映画を見た私たちの周りだけで流行ってます(笑)。

■注1:これです

  ドッペルゲンガー/役所広司
  

  ¥2,500

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