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「ロッキー」の想い出のことなど

昨日24年ぶりに見た「ロッキー」について
アレコレ書いていたところ、
話が当時のことを度々思い出して脱線、
気が付けば膨大な文章になってしまっておりました。
そこで昨日は<ロッキー>の「作品について」
本日は「想い出、そしてその周辺について」
の2部に分けて書いて行きたいと思います。
いや20年ぶりというのは、
想い出も20年蓄積してたと云う事なんですねえ。

「ロッキー」はロードショーでは見てません。
24年前、名画座でみました。
池袋にあった名画座〈テアトルダイヤ〉。
今でも同名の劇場は現在はロードショー館ですし
改築前の古い建物でした。
「ロッキー2」との2本立てで見ました。
当時名画座では「ロッキー」と「ロッキー2」の
〈ロッキー大会〉が定番であちこちの名画座でやってましたし
(まだ名画座があちこちにあった時代です)
またお客もよく入っていて、その日も超満員の映画館で
もみくちゃになって席を確保したのを良く覚えてます。
他にも当時の名画座では、
<ジョーズ大会><ゴッドファーザー大会>あたりが定番でした。
ちなみに当時の名画座の入場料、子供300円。安い。

「ロッキー」の舞台となるのはフィラデルフィア。
スラムを舞台としているため登場人物たちのしゃべる言葉は
決して上品でありません。
つまりスラング連発ちゅうやつですね。
ところがこれはなかなか<字幕>では表現しづらい。
「ロッキー」を見た日、劇場にアメリカ人が見に来ていて
やたらとそのスラングに大笑いをする。
それも半端な笑いではない。
もう笑い袋みたい。文字にすれば

「ギャハハハハ~(頭のギャに強いイントネーションがかかった感じ)」

もちろん他の日本人連中に彼の笑いの意味はさっぱりわかりません。
ロッキーがしゃべると「ギャハハ」
ポーリーがボケれば「ギャハハ」
仕舞にはアメリカ人の「ギャハハ」の声におかしくて
場内が「ハハハハ」の大爆笑。のどかな風景です。

「ロッキー」は2・3でヒーローとなり、
4でアメリカを代表する英雄となり、
5で庶民派のヒーローに戻ったという図式です。
ちなみに私は3で見るのをやめました。
だってスタローンは“3”制作時
「3でロッキーは終了」と公言してたんですから、
だから3のラストで私は「これでロッキーの終焉か」と
感慨にふけり、不覚にも涙してしまったのです。
それを金に目がくらんで“4”を制作するなんザ、
ロッキーファンを無視するのもいいところ。
4を制作した時点で私の中のスタローンは終わってます。
「ロッキー」を20年以上も見なかったのも
このスタローンの方針に腹が立ったのが原因かもしれません。

そういえばこの前「スパイキッズ3-Dゲームオーバー」
をWOWOWでみたら、そのスタローンがすっかり歳をとって出演。
きついキャラクターを演じて20年後の姿を
「さらして」おり感慨深かったです。
その「スパイキッズ3-Dゲームオーバー」はまた後日と云う事で。

「ロッキー」




タイトル: ロッキー〈特別編〉

S・スタローンの「ロッキー」を24年ぶりに観ました。
久々に観て地味な作品だったんだなというのが正直なところ。

あくまでもこの作品でのロッキーは最後まで
「しがないチンピラ」でしかありません。
ボクシングの素質はありながらも
「育ちの悪さ」「現在の環境の悪さ」も手伝って
ボクシングには一向に気が入らず、
日々を三流ヤクザの手下として借金取立てに費やす毎日。

それが世界チャンピオン(アポロ)のちょっとした遊び心から
チャンピオン戦に出場。
アポロの遊び心での出場だから3回戦でKOされる予定ながらも
意外にも善戦。ロッキーはこのチャンピオン戦を通じて
「自分を信じれば」という信念を、
エイドリアンとの恋とともに確信する。
(しかしエイドリアン役のタリア・シャイア、今見ても結構キツイです)

「ロッキー」はその後シリーズ化されて
すっかり「ヒーロー物」の代名詞となっていますが、
“2”以降とこの「ロッキー」が決定的に違うのが、
この作品は「ヒーロー物」ではなく、
あくまでもフランク・キャプラばりの
「下町人情物」であること。

2・3・5で世界チャンピオン、4では国民的ヒーローにまで
ロッキーは登りつめますが、この「ロッキー」を見れば答えは歴然。
ロッキーはそんな器じゃありませんし、彼も望んじゃいません。
どん底の、一度はあきらめかけた人生から僅かながらも光を見つけ、
その光に幸せを感じる「一庶民」でしかないのです。
しかしロッキーが「一庶民」であるからこそ、
彼がチャンピオン戦で善戦することで観るものは深く感動するのだと思います。
等身大のキャラだからこそ「ロッキー」は
高く評価されたのではないでしょうか。

“2”以降、特に“4”のロッキーに違和感を感じるのも、
ロッキーが一庶民から、だんだん雲の上の存在にまで
なっていってしまったからではないでしょうか。

「座頭市物語」「続・座頭市物語」





タイトル: 座頭市物語





タイトル: 続・座頭市物語

たけしのZATOICHIではありません。
本家本元、勝新太郎の62年の大映作品であります。
WOWOWでシリーズ一挙放送のうち初期の2作品を鑑賞。

「座頭市」は子供の頃、テレビで放送されておりましたが
白目をむいて喉の奥から搾り出すようにセリフをいう
勝新が子供心に怖くてほとんど見ませんでした。
(但し大学の時、うん十年ぶりの映画化は見ました)

しかし初期の座頭市を今回鑑賞すると
本来の「座頭市」というヒーロー像は、素朴な人柄でありながら
実際戦いになると抜群の剣の使い手になるというもので
勝新の演技が、時が経つとともに段々オーバーアクトに
なっていったんだな、というのがわかります。

はっきり言ってこの初期の座頭市の方が私にとっては
魅力的なヒーローでありました。
やはり後期の勝新の演技はちょっと過剰でしょう。

しかしこの作品は勝新も魅力的ですが
脇役陣の層の厚さが本当に凄い。

座頭市を煙たがりながらもあまりの腕の凄さに用心棒に
雇わざるを得ない親分役を演じる新派の柳永二郎は、
後の「仁義なき戦い」の金子信雄を彷彿とさせるし、

「続・座頭市物語」で座頭市と憎しみ合う兄役を演じる
実生活でも兄の若山富三郎も渋い。

がなんといっても
「座頭市物語」で不思議な縁で友情を深めながらも
敵方の用心棒であるがために最後には1対1の決闘となる
平手造酒(ひらてみき)役の天地茂が、
他の文献でも絶賛されていますが本当に本当に素晴らしい。
彼が素晴らしいかったから「座頭市」はシリーズ化されたのではないかと思う位、
男の魅力に溢れています。
最後、座頭市に切られ彼に倒れこみながら
「おぬしに切られてよかった」とつぶやくその姿には、
はっきり言って泣きました、私は!

私が見る限り天地茂のベストアクトであるのはもちろんのこと
最も主役を盛りたてつつおのれの魅力を存分に出した敵役であったのではないでしょうか。

「片腕カンフーVS空とぶギロチン」




タイトル: 片腕カンフー対空飛ぶギロチン

WOWOW〈特集カンフー英雄列伝〉でひそかに期待していたのが
ジミー・ウォングの2作品。

特にこの作品はカンフーオタク、Q・タランティーノに多大なる影響を与え
「KILL BILL」ではオマージュをささげたといわれるくらい。
果たしてブルース・リー、ジャッキー・チェンの陰に隠れた
スターの再発見となるか!

ところがどっこい、これが
「セコい」「ムチャクチャ」「華がない」三拍子揃った珍品中の珍品!!
もう怒りを通り越して見てる間ツッコミと苦笑の連続!
まあこれを「カルト」というんでしょうね。

まず「セコい」のが〈空とぶギロチン〉
なんだろうと思ったら何のことは無い、
ブーメランのようなものにギザギザの刃がつき
これに鎖がついていて、振り回して相手の頭にかぶせ引っ張ると
相手の頭が首ごと切れちゃうという武器。
これを敵役がブンブン振り回して〈片腕カンフー〉と戦うという筋立て。
ところが使わないときはこれがなんと折りたたんで懐にしまっておくのだ。
オイオイ、折り畳み傘じゃないんだからさ!
そんな危険なもの使うとき組み立てるなよ!

次に「ムチャクチャ」
オープニング、壮大な音楽が流れ山に立て籠もっている僧が
使いの者からの手紙を読み激怒、相手への復讐を誓う。
これだけ見ればこの僧が主役だと誰もが思うところ
ところがこの僧が〈空とぶギロチン〉を持った敵役!
オイオイ、敵をオープニングでそんなに壮大に描いてどーすんだよ!

最後に「華がない」主役のジミー・ウォン
もう本当悲しいくらい普通の人。
画面に3人いたらもう誰が主役かわからない。
かろうじて〈片腕ドラゴン〉だからこの人だとわかるくらい。
あまりにも華がないから「片腕」にしたんじゃないかと
勘ぐりたくなってしまったほど。

まあもっともっと書きたいことはありますがこれくらいにして。
2本目の「怒れるドラゴン 不死身の四天王」をみようとしたが
1本目にツッコミすぎてさすがにグロッキー状態。
今日にでもまた見てツッコミ報告したいと思います。

「チェンジング・レーン」




タイトル: チェンジング・レーン

ベン・アフレックとサミュエル・L・ジャクソンが
交通事故を起こしその後の処理について
ただひたすらいがみ合う2人芝居のような一編。

いがみあい、足の引っ張り合う姿は
正直、見苦しいけど
1時間半という短い上映時間に
畳み込むように展開されるため
結構小気味良く見られます。

ラストもご都合主義だけど
じんわりあったかい終わり方で
なかなかの拾いモンでした。